ホーム食べてみた! ~N1の食レポ~魚肉ソーセージのすべてが変わった日

食べてみた! ~N1の食レポ~
魚肉ソーセージのすべてが変わった日

小腹問題を瞬時に解決する食品に過ぎなかったのに
今回は、さらっと話を進めるつもりです。だって、たいがいの人は魚肉ソーセージについて深く知りたいと思わないでしょ?
僕だってそうです。あえて言えば、子供の頃から普通に存在していた食品ですから、ことさら好んだわけではなく、これを縁に誰かと心が通じ合ったというような、語るべき特別な思い出などありません。
ただ、現在でも自宅の食品棚で不在に気付けば買い足すくらいなので、実は回転率が高い1軍扱いの食品かもしれません。その理由を検証するのが今回の目的と言えば、それっぽい感じになるでしょうか。
でも、理由はすでに判明しているし、しかも浅いのです。小腹を満たすため。それ以外にありません。
自宅仕事の原稿書きで空腹にイラついたとき、個包装のせんべいを食べる件は、自分が担当した初回の記事でお伝えしました。その作業食として、せんべいとともに重宝しているのが魚肉ソーセージ。表現はアレですが、ぬるっとした口当たりとぷるんとした量感は、小腹問題を瞬時に解決してくれます。そのために補充しているだけ。料理への転用もない。
しかし、あるとき飲みの席で小腹の満たし方が話題になったとき、僕が魚肉ソーセージを挙げたら予想外の言葉が返ってきたのです。
「それは健康的ですね」
単なるエネルギー補給剤ととらえてきた僕は、急に恥ずかしくなりました。ともすれば魚肉ソーセージがヘルシー自慢になるなんて、夢にも思わなかったから。
それまで気づかなかったヘルシーワードの満艦飾
商品紹介が後手に回ってすみません。まずは、『塩分30%カット DHA・EPA入り おさかなソーセージ』。近所のスーパーマーケットで、いつも買っている商品です。イオングループのプライベートブランド『トップバリュ』の中で、もっともお手頃価格の『ベストプライス』に属するそうな。確かに4本セットで約250円はお買い得。これまた、それだけがチョイスの理由です。
その馴染み深い魚肉ソーセージだけでもよかったのですが、飲みの席の赤面に端を発して何か書くなら、比較対象が必要と考え、『おさかなソーセージ』のすぐ脇にあった同類を手に取ってみました。それが『ホモソーセージ』。僕ら世代には懐かしいネーミングです。後にのぞいたメーカーのホームページによると、均質化を意味する英語の「Homogenize」からとったそうです。
さておき、初の2ブランド同時買いを実行したら、めまいを覚えそうになりました。ヘルシーワードの満艦飾! お馴染みの『おさかなソーセージ』の包装に、「塩分30%カット」だの「DHA」だのが記されていたなんて、これまで一度も目に留まらなかった。
『ホモソーセージ』も同様。「あなたの体のもとになるたんぱく質22.2g *1束(3本)あたり」だって。これが「健康的ですね」につながるんですね。参りました。
『おさかなソーセージ』は1本70g。『ホモソーセージ』は1本75g。魚肉ソーセージで気になるのは内装フィルムのはがし方。前者は側面の接合部からはがすタイプ。後者は上部の赤いテープがきっかけになる、以前からよく目にしたタイプ。
魚肉ソーセージが普通に存在してきた理由
魚肉ソーセージは日本の発明品。1935年(昭和10年)、当時の農林水産省水産講習所の教授がマグロを使って試作販売したツナハムが魚肉ソーセージの元祖。肉を詰めるソーセージが高価だったこともあり、この国の豊かな水産資源を生かした保存食をつくろうとしたのが、そもそもの始まりだったそうです。
果たしてその頃は、記憶力向上や血液をサラサラにするDHAの効果に気づいていたのだろうか? あるいは、基礎代謝の向上や美容維持にたんぱく質が大事とわかっていたのだろうか?
って、僕は誰に自分の無知の責任をなすりつけようとするのだろう。無理です。ただ知らなかった者が抗えるはずなどない。そもそもこの国には、体に良い食品を代々受け継ぐ文化的土壌が根付いている。魚肉ソーセージが普通に存在してきたのも、その証明となるのでしょう。
いやまあ、それでも、作業食にダイエットにも役立つヘルシーフードを選ぶなんて、意識が高いみたいでこっぱずかしい。そんなつもり、なかったんですから。
もはや蛇足っぽいですが、いつもの『おさかなソーセージ』を基準にすると、わずかにお高い『ホモソーセージ』のほうが味にパンチがありました。そこで栄養成分表示に目を凝らして、前者の脂質2.8gに対して後者は2倍近い5.1gだからかと推測したり……。
なんてのは違うなあと思ったりするのですが、魚肉ソーセージ=健康的と知ってしまった日から、すべてが変わってしまったのかもしれません。何も悪いことはないのだけど。
むき身だと、見た目がアレですね。右の『ホモソーセージ』は、内装フィルムはがしの跡が残りがち。ほぼ同じ原材料ながら、味わいが異なるのも魚肉ソーセージのおもしろいところです。
田村十七男
訳あって十数年前に一人暮らしを選んだ際、「ちゃんと暮らす」という目標を掲げた60代前半のフリーランスライター。目標に関して言えば、それまで人任せだった料理に取り組める自分の意外性を知り、我が人生の大発見と自負しております。誰にも気兼ねしない自由と、親譲りの貧乏性がせめぎ合うスーパーマーケットで、今日もお買い物!
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田村十七男
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コジカism
夫と中学生の娘との3人家族。 フリーランスで自宅を仕事場にしながら、 娘のお弁当づくりと、近くに暮らす高齢の母のケアをワンオペでこなす日々。 「旬のものをバランスよく食べさせたい」という理想と、 「外食も好きで手抜きもしたい」という本音の間で格闘しつつ献立を模索している。 和食、特に魚が好きな娘に合わせ、 焼き魚と具だくさん味噌汁との組み合わせが食卓に登場する頻度が高い。 自分のためだけの食事づくりは徹底的に手を抜く。
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