
これって兆し?
“ムダ”に価値を見出す「ムダパ」は、食の新しい物差しになるのか
👄「ムダパ」という言葉が揺れながら広がっている
最近、「ムダパ」という言葉を目にする機会が少しずつ出てきました。
日経MJでは2026年1月に「2026年『ムダパ』への旅 4割がタイパ疲れ、無駄な時間で豊かに」という特集が掲載され、コスパ・タイパの次に来る価値観として紹介されています。
ただし興味深いのは、この言葉の意味がまだ一つに定まっていないことです。ある記事では、ムダパは「人それぞれにある大事な無駄」と捉えられ、家事や仕事はタイパ重視でも、旅行や食事には時間をかけたいという生活者感覚が紹介されています。
一方、商いの文脈では、ムダパは効率の反対ではなく、未来の繁盛につながる“商人の財産”として語られています。
この解釈の揺れ自体が、いまの生活者の気分を映しているのかもしれません。
🍽食はタイパとムダパが交差する領域
これまで食の世界では、時短・簡便・失敗しないことが大きな価値になってきました。
「温めるだけ」「混ぜるだけ」「考えなくていい」といった商品は、忙しい生活を支える存在として受け入れられています。
一方で、すべての食が効率化されたいわけではなさそうです。
平日の食事はできるだけ負担なく済ませたい。けれど、週末の外食、旅先の食べ歩き、気分を変えたい日の買い物では、少し遠回りして選びたい。そんな使い分けが起きているのではないでしょうか。
実際、ドン・キホーテ戸越銀座店の発表では、1階と地下1階を「タイパ&即食」、2階をゆっくり豊かな時間を過ごす“ムダパ”買い物に適した売場として位置づけています。食品や惣菜の即食ニーズと、回遊や発見を楽しむ買い物体験が、同じ店舗の中で併存している点は示唆的です。
“削る手間”と“残す手間”を見極める
メーカー視点で見ると、ムダパは「手間を増やせばよい」という話ではなさそうです。
生活者が負担に感じる手間は減らす。一方で、気分が上がる選択、誰かに話したくなる発見、自分で仕上げた感覚など、心が動く手間はあえて残す。そこに商品設計の余地がありそうです。
例えば、調理工程は簡単でも、最後に香りを足す、盛りつけを楽しめる、売場で選ぶ余白がある。
そうした“少しだけ関われる設計”は、タイパとムダパの間にある価値と言えるかもしれません。
まとめ
「ムダパ」は、まだ定義が固まりきっていない言葉です。
だからこそ、単なる流行語ではなく、効率化に慣れた生活者が「何に時間をかけたいのか」を探り始めている兆しとして見ることもできます。
食は、日々を回すためにはタイパが求められ、気持ちを満たす場面ではムダパが求められる領域です。
これからの商品や売場では、どの手間をなくし、どの“無駄”をあえて残すのか。
その見極めが、次の食品価値を考えるヒントになるのではないでしょうか。
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