ホーム食べてみた! ~N1の食レポ~名古屋ご当地味噌系で体験した、土産物初心者ならではの楽しみと痛恨

食べてみた! ~N1の食レポ~
名古屋ご当地味噌系で体験した、土産物初心者ならではの楽しみと痛恨

土産物を買う意欲が湧かない理由
出張に行ったら必ず土産を買って帰るという慣習は、まだ健在なのでしょうか。それがシンプルな心配りではなく、ただの義務になっているなら、このご時勢ではすでに廃れているかもしれません。
僕はと言えば、そもそも出張というワードに馴染みがないのです。それは、堅気の会社による業務の一環。我々ヤクザな稼業では、自宅から電車で15分であれ、飛行機に乗って海外へ行こうと、すべて取材という名称に収めます。
その件と土産の関係性ですが、そこに行かなければネタを得られない取材は頻繁に実施されるので、そのたびいちいち土産を携えて帰るのは面倒臭いし、選ぶ暇があるなら仕事に使うか、移動時間の短縮に充てたいというのが、つまりは僕の習慣です。そうは言っても、ちゃんと土産を買いたい同行者がいると、そっちの習慣に合わせなければならない場合は少なくありませんが。
そんなわけで、今もって取材のたびに土産を買おうとする意欲は湧きません。なのですが、今回はいつ以来かまるで思い出せない反習慣的な行動を起こしてみました。それは、ここで何かを書かせていただくことになったから。なとど言えば、すべて仕事のせいにする昭和の猛烈社員みたいだけど、きっかけをチャンスにするのは大事という答弁で、話を進めていきます。
『味噌おでん』と『赤だし味噌のお味噌汁』の中身がこちら。
中京地区なら味噌文化という安易な発想
名古屋でした。新幹線で片道1時間半はトンボ帰り確実。なおかつ移動時間より取材のほうが短いのも通例。であれば午前中で全作業が終了した今回も、もろもろ効率を優先させれば、仕事終わりで即座に帰宅の途についてもよかった。しかし、あとは新幹線に乗るだけとなったところで、この仕事に対する使命感を果たそうとしました。
「ご当地っぽい土産を買ってみよう」
そう思いついた途端にそわそわ。JRの駅まで来て、それらがどこに売っているのか見当もつかない。土産物を疎かにしてきた罰でしょう。そこでひとまず駅直結の百貨店へ。初心者として悪くない思い付きと自負させていただきます。
お待たせしました。ここでようやく商品の登場です。浜乙女の『味噌おでん どて煮入り』と、カクキューの『赤出し味噌のお味噌汁 フリーズドライ』
選考理由は単純です。まずは、中京地区なら味噌文化という安易な発想。それから、百貨店の地下のご当地土産売り場っぽいコーナーで、自分用に適した内容と量に見合うのが他になかったから。
『味噌おでん どて煮入り』は、豚もつ・たまご・大根・さつま揚げ・こんにゃくの5種類入りで270g。これなら一人の晩飯に十分な量。『赤出し味噌のお味噌汁 フリーズドライ』は8.8g×4袋入りなので、わりと重宝するのではと。
購入時点で味噌だらけになる偏りを見過ごしたのは、やはり土産物に不慣れな者ならではの哀れかもしれません。けれど、初心者だからこそ素直に楽しめることもあるようです。
いずれも指定通り、『味噌おでん』は沸騰したお湯に5分。『お味噌汁』は160mlの熱湯を。
気がつけば味噌だらけの黒い食卓
味の説明は、主観頼みになりそうなので今後も控え気味にします。ですが、地域性豊かな味噌仕込みに関してのみ、所見を述べさせていただきます。
まずは、『味噌おでん どて煮入り』。ほぼ黒です。味わいもまったりしているかと思いきや、かなりさっぱりでした。ただし、かなり甘め。白飯に合うと踏んで試したら、けっこうイケました。地元の人はご飯のおかずにするのかな。
次に『赤出し味噌のお味噌汁 フリーズドライ』。こちらも、ほぼ黒。なのにしつこさを感じないのは『味噌おでん』と同じ。中京地区の味噌料理は、こういう方向性なんだろうと認識を新たにしました。
さてさて、土産物初心者が楽しめた点について。今回の2品がともに誇る八丁味噌の使用。これを探ってみたら、『味噌おでん』が使っている「まるや」と、『お味噌汁』のカクキューは、いずれも岡崎市の味噌蔵で、国内ではこの2箇所だけで八丁味噌をつくっているらしいんですね。ゆえに僕は、八丁味噌の頂上対決を土産で体験できたわけです。我ながら鼻が利くと自慢しかけたものの、百貨店のチョイスのおかげでしたね。
八丁味噌とは、大豆に麹菌をつけ、塩と水だけを加えて、2年以上(二夏二冬)寝かせた豆味噌の一種。徳川家康が生まれた岡崎城から西へ八丁(約870メートル)の村で製造されたのが名前の由来。その味噌を食べ続けたから家康は長寿だった云々。
やはりご当地ものには歴史と伝統があります。それを調べさせ、こうして伝えたくなる力までも秘めている。何というか、取材者こそ土産を買うべきだったと思わされました。そんなわけで、土産シリーズは今後も継続間違いなしです。
ただひとつ、『味噌おでん』と『赤出し味噌のお味噌汁』を同時に食べたため、食卓が黒尽くめになってしまったのは初心者の痛恨でした。名古屋の方も「別々でいいんじゃない」とおっしゃるかもしれません。
名古屋帰りの晩の、黒い食卓。これに白飯。悪くはなかったけれど。
田村十七男
訳あって十数年前に一人暮らしを選んだ際、「ちゃんと暮らす」という目標を掲げた60代前半のフリーランスライター。目標に関して言えば、それまで人任せだった料理に取り組める自分の意外性を知り、我が人生の大発見と自負しております。誰にも気兼ねしない自由と、親譲りの貧乏性がせめぎ合うスーパーマーケットで、今日もお買い物!
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訳あって十数年前に一人暮らしを選んだ際、「ちゃんと暮らす」という目標を掲げた60代前半のフリーランスライター。目標に関して言えば、それまで人任せだった料理に取り組める自分の意外性を知り、我が人生の大発見と自負しております。誰にも気兼ねしない自由と、親譲りの貧乏性がせめぎ合うスーパーマーケットで、今日もお買い物!

コジカism
夫と中学生の娘との3人家族。 フリーランスで自宅を仕事場にしながら、 娘のお弁当づくりと、近くに暮らす高齢の母のケアをワンオペでこなす日々。 「旬のものをバランスよく食べさせたい」という理想と、 「外食も好きで手抜きもしたい」という本音の間で格闘しつつ献立を模索している。 和食、特に魚が好きな娘に合わせ、 焼き魚と具だくさん味噌汁との組み合わせが食卓に登場する頻度が高い。 自分のためだけの食事づくりは徹底的に手を抜く。
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