ホーム食べてみた! ~N1の食レポ~冷凍食品コーナーを巡る旅 その2 懐かしさすら込み上げてきた煮魚

食べてみた! ~N1の食レポ~
冷凍食品コーナーを巡る旅 その2 懐かしさすら込み上げてきた煮魚

「魚が食べたい!」

「魚が食べたい!」
この果たし難い希望を叶えるため、自ら名付けた「冷凍食品コーナーを巡る旅」に再再度繰り出し、明るく涼しい陳列棚で出会った『鰈の煮付け』が思いのほかよかった!
以上が今回の主題です。それから、この記事を書くに当たり、買い入れた『鰈の煮付け』を調べたら、パッケージに記された『マルハニチロ』が、2026年3月1日付で社名を『umios(ウミオス)』に改めたことを知れたのも勉強になりました。
というのは、社名変更自体はテレビCMでそれとなく見聞きしていたものの、旧名からして縁遠かったんですね。なぜなら、水産系に強い有名食品メーカーという認識はあっても、自分自身がそっち方面の食品に触れてこなかったから。しかも冷凍食品を巡る旅を始めたのもつい最近だし。
そうしてマルハニチロを検索したら、大元のサイトはすべて『umios』に切り替わっていた。なのに『鰈の煮付け』は、社名変更前に製造されたからか『マルハニチロ』名義のままだったので、余計に印象深くなったわけです。こんな自分もそっちにお世話になる日が来たんだなあいう感慨とともに。
ちなみに、テレビCMでは新生命体を名乗っていたウミオスという名称は、「umi/海」「one/ひとつ」「solutions/解決」を組み合わせ、社会課題に向き合う企業の姿勢を示す意図を込めたそうな。揶揄するつもりなどまったくなく、今時なネーミングだと思います。
さておき話は、「魚が食べたい!」という希望の発端に流れていきます。
「魚が食べられなくなった!」
「魚が食べたい!」は、「魚が食べられなくなった!」という嘆きが産み落とした希望でした。
実を言えば、幼い頃の僕は魚が苦手。特に骨の処理に手を焼き、何度か喉に引っかかった小骨の忌々しさがトラウマのようになっていたのです。ただし、サンマの開きは別。骨が取れやすかった以上に、中学に入ってすぐ耳にした「背を伸ばしたいならカルシウムとタンパク質を!」という情報を鵜呑みにして、母親にサンマの開きと牛乳を用意してくれるよう毎日懇願しました。おかげで身長は175センチに。でも、平均よりちょっとだけ大きい程度なので、効果があったかどうかは不明です。
そんな偏屈な魚嫌いを一変させてくれたのが、知り合いが始めた和食屋。メニューにない特別な魚料理のどれもが素晴らしかった。魚を綺麗に食べられてこそ大人という憧れも背中を押したのでしょう。手間のかかった料理を余すことなく頂くうちに、魚の美味しさだけでなく、食べ方の作法も相応に身についていきました。
ところが、その和食屋が店仕舞い。仕方ありません。誰にも諸事情があります。けれど、心地よく魚を食べられる僕の居場所は失われた。その決定的な痛みは、今もって癒えていません。
自分でつくればいいじゃないか? 魚に限っては、そんな簡単なもんじゃないのです。だって、自宅で炭火でじっくりサンマを焼くなんて、物理的な準備は整えられても、あの絶妙な火加減は熟練の腕なくして再現不可能。食通ではない僕でも、それはよくわかっていいます。ゆえに決断しました。あの味わいが口にできないなら断つ。そうして「魚が食べられなくなった!」日から、7年以上が過ぎました。
「魚が食べられた!」
それでも、時が解決してくれる部分はあるみたいです。最近になりようやく、心からの求めに応じきれない形でも、「魚が食べたい!」と思えるようになりました。そこで冷凍食品。旅を始めておいて本当によかった。
焼き魚もチンでいけるらしいと聞きつつ、今回『鰈の煮付け』を選んだのは、想像した煮魚調理の工程に屈服したから。独り晩飯で煮魚をつくる日をイメージしたこともありません。自分でつくるなんて、まさに不可侵領域。
なのに冷凍食品は、軽々と壁を越えてみせる。しかも先述の通り、これが思いのほか、よかった!
電子レンジ調理の指定は、500w約10分または600w約8分半。レンジでチンにしては長いような気がしますが、時間をかける分だけ美味しくなる期待が膨らみます。現にタイマーのカウントダウンに合わせて、しょうがの香りが漂ってきました。
アツアツになった内袋から皿へ移すと、パッケージの写真そのままの姿に。何と言うか、完璧な煮付けで驚きました。煮崩れしない身は、ほぐれ具合も素晴らしい。味わい全般は上品傾向。しょうがの主張は抑えめで、煮汁もどちらかと言えば薄味。個人的にはもう少し濃い目でもよいと思ったけれど、そこはカレイに漢字を充てた旧マルハニチロのセンスなんでしょうね。
これは蛇足ですが、煮汁をご飯にかけてみました。無作法は承知。けれど、自宅なら許されていいですよね。今はなき和食屋でも、煮魚の日はお供え程度の白米をそっと出してくれたのを思い出して、懐かしい気持ちになりました。そしてまた、「魚が食べられた!」満足を与えてくれたのも、僕が知らなかった冷凍食品の威力と言う他にありません。

完璧な煮魚。身のほぐれ方は感動を覚えるほどでした。
田村十七男
訳あって十数年前に一人暮らしを選んだ際、「ちゃんと暮らす」という目標を掲げた60代前半のフリーランスライター。目標に関して言えば、それまで人任せだった料理に取り組める自分の意外性を知り、我が人生の大発見と自負しております。誰にも気兼ねしない自由と、親譲りの貧乏性がせめぎ合うスーパーマーケットで、今日もお買い物!
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コジカism
夫と中学生の娘との3人家族。 フリーランスで自宅を仕事場にしながら、 娘のお弁当づくりと、近くに暮らす高齢の母のケアをワンオペでこなす日々。 「旬のものをバランスよく食べさせたい」という理想と、 「外食も好きで手抜きもしたい」という本音の間で格闘しつつ献立を模索している。 和食、特に魚が好きな娘に合わせ、 焼き魚と具だくさん味噌汁との組み合わせが食卓に登場する頻度が高い。 自分のためだけの食事づくりは徹底的に手を抜く。
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