ホーム食べてみた! ~N1の食レポ~頬張る醍醐味を実感したい国民食と、国民一人ひとりの餃子物語

食べてみた! ~N1の食レポ~
頬張る醍醐味を実感したい国民食と、国民一人ひとりの餃子物語

「おばあちゃんの餃子が食べたい」
今回は餃子。おそらく、圧倒的な支持を集める国民食。それゆえ国民一人ひとりに餃子物語があるに違いありません。
僕の場合は、母親の手料理に直結しています。幼い頃から僕ら兄弟(年子の弟がいます)は、目の前に餃子を出されたら黙ってモリモリ食べてきました。母親にすれば、日々の献立問題を解消する手立てになったのでしょう。わりと頻繁に食卓に上がったし、僕らにしてもむしろ頻繁がうれしかった。
親元を離れて云十年のある正月。僕の姪、つまり母親の孫娘が言いました。「おばあちゃんの餃子が食べたい」 その一言に気を良くしたのか、それ以来の正月は餃子が締めの一品になりました。発言には注意が必要ですが、ああいうのは生涯変わらぬ女親の性なのかもしれません。大人になった僕ら兄弟は、一途な母親を懐かしむ照れを隠すため、「また餃子かよ」と悪たれをつく。それでも反射的に頬張ってしまうわけですが。

本文とは関係なく、指定通りの冷凍餃子の調理を展開します。まずは開封。その瞬間に肉やニラの香りが漂います。
最後は2年前。珍しく塩加減を間違えて、かなりしょっぱい仕上がりになりました。僕はつい「どうした?」と言ってしまった。餃子の味より老いを心配した長男なりの発言だったけれど、しかし母親も一人の人間。もっと気遣うべきでした。結果として、母親の餃子はそれが最後という罰が執行中です。
ならば母親に倣ってつくってみるか? いやいや、そもそも餃子って、餡をこさえて皮で包んで上手に焼くために費やす時間と、モリモリ食べ尽くす時間のバランスが悪すぎますよね。料理に対して一途ではない僕に手づくりは無理。従って餃子は、母親のそれが途絶えている中、外食するか、スーパーの総菜コーナーで買うかのいずれかに絞られています。
けれどひとりの食卓で、焼き立てを白飯にバウンドさせながら頬張りたい夜もある。なら、どうする?
パッケージの写真を真似て、フライパンにセット。全体に羽を広げるなら、ギュッとまとめて並べたほうがいいみたいです。蓋をして、中火で蒸し焼き約5分
もしや独身男性を狙った冷凍餃子?
前置きが長いのは僕の構文の特徴ですので、今後ともよろしくお願いします。
さて、焼き立ての餃子をひとりの食卓で頬張りたいなら、どうする? 冷凍食品しかないでしょ。
実のところ、冷凍餃子を買ったことがありませんでした。特に理由はありません。自分の料理において、冷凍食品の生かし方を知らないだけです。それは今っぽくないんだろうなと思い、簡単&便利で有名な冷凍食品に手を伸ばしてみることにしました。
よく行くスーパーながら、初めて足を踏み入れる冷凍食品コーナー。驚くことに餃子は、冷凍機ごと1台別枠なんですね。さすが国民食。しかも100円台からそろい、およそ「油・水いらず」をアピールしている。冷凍食品は常に進化しているんでしょうね。
蓋を開けます。底面に白く広がっているのが羽になるんですね。これまた調理方法の写真が示す色合いまで数分間焼きます。目が離せません。
そんな感服に満ちた餃子冷凍機から何を選ぶか。ドアを開けて物色するのが憚れる冷凍食品であれば、初心者はパッケージを基準にするしかありません。そこで目を奪われたのが、日清食品の『冷凍 完全メシ 羽根つき肉餃子』 他が白ベースのデザインに対して、これだけ金色って否が応でも、です。さらに『完全メシ』は、日清のカップ系食品でも使われている名称だから、カップヌードルとともに育った世代は彼らのマインドコントロール、ではなく商品開発戦略に乗りやすい。なおかつ、餃子冷凍機の中では最高値の398円。
後に気づきました。これら様々な設定は、家計のやりくりなどさして気にしない、独身男性がターゲットなのではないかと。そのあたり、いつか日清にインタビューしてみたいですね。「絡め取られましたか?」と逆質問されたら、素直に認める準備をして。

やってみたかった皿乗せひっくり返し。今回のハイライトでした
冷凍餃子の民主的理解について
さておき、すでに文中の至るところで調理の工程を披露しているので、ここからは初めての冷凍餃子、ただし『冷凍 完全メシ 羽根つき肉餃子』に限定した味わいの感想をお伝えする他にありません。
ちゃんと美味しかったです。肉や野菜の風味がしっかり感じ取れたし、『完全メシ』を謳うだけあって、タンパク質・炭水化物・脂質の三大栄養素のバランスが整っていることも、相応に口の中でわかる。それから、手間を楽しみに変換できる焼きの工程が残されているのはおもしろい。どの家庭で食べても同じ味であれ、焼き加減だけは腕の見せ所になりそうですよね。

初めてにしては、わりといい焼き上がりですよね。誰でもできるんだろうけど。
惜しむらくは、サイズかな。他の冷凍餃子のパッケージの大きさと個数に鑑みて、『冷凍 完全メシ 羽根つき肉餃子』だけではなさそうですが、頬張る醍醐味を実感するのに全長7㎝(自己計測)は小さすぎる。それが製法上の特徴なのか、あるいはしきたりであれば、初心者ごときに口を挟む余地はないでしょう。
だから、アレですね。餃子が国民食になり得ているのは、冷凍でも欲するほどだからと理解するのが民主的。または、これだけ手軽に美味しく食べられるものを批判するなら、勝手に自分で何とかしろ。という話。それもできないとなれば、僕は食べ慣れた大きさの餃子をつくる母親をなだめすかす以外にありません。しかし高齢を極めた今、孫ではなく倅のために腰を上げてくれるだろうか。

僕の知る餃子と遜色ない断面。想像よりずっと美味しかったです。
田村十七男
訳あって十数年前に一人暮らしを選んだ際、「ちゃんと暮らす」という目標を掲げた60代前半のフリーランスライター。目標に関して言えば、それまで人任せだった料理に取り組める自分の意外性を知り、我が人生の大発見と自負しております。誰にも気兼ねしない自由と、親譲りの貧乏性がせめぎ合うスーパーマーケットで、今日もお買い物!
使い方に関するお問合せはこちらからお願いいたします
お問合せN1レポーターのご紹介

田村十七男
訳あって十数年前に一人暮らしを選んだ際、「ちゃんと暮らす」という目標を掲げた60代前半のフリーランスライター。目標に関して言えば、それまで人任せだった料理に取り組める自分の意外性を知り、我が人生の大発見と自負しております。誰にも気兼ねしない自由と、親譲りの貧乏性がせめぎ合うスーパーマーケットで、今日もお買い物!

コジカism
夫と中学生の娘との3人家族。 フリーランスで自宅を仕事場にしながら、 娘のお弁当づくりと、近くに暮らす高齢の母のケアをワンオペでこなす日々。 「旬のものをバランスよく食べさせたい」という理想と、 「外食も好きで手抜きもしたい」という本音の間で格闘しつつ献立を模索している。 和食、特に魚が好きな娘に合わせ、 焼き魚と具だくさん味噌汁との組み合わせが食卓に登場する頻度が高い。 自分のためだけの食事づくりは徹底的に手を抜く。
おすすめ記事
冷凍食品で出会った“予習”の一杯と、母娘で描く実店舗への野望。
最近、わが家の中2女子がすっかり虜になっているものがある。日本各地、さらには台湾にまで進出している有名チェーン店「東京油組総本店」の油そばだ。きっかけは、仲良しのお友達に「近所に前から気になってるお店があるから、一緒に行こう」と誘われたことだった。その時の娘は、正直なところ「油そば? まあ、いいけど」という、付き合い程度のテンション。ところが、いざ食べてみるとその美味しさに衝撃を受け、気づけば誘ったお友達と一緒に、二人揃って熱狂的なファンになって帰ってきた。どうやらその店舗は、ファンからも「ここが一番おいしい」と絶賛される人気店だったらしく、期待値が低かった分、いきなり“当たり”を引いてしまったギャップが相当大きかったようだ。今では、試験終わりや遊びに行くたびに二人で「油そば食べたい!」と繰り返すほど、中毒性の高い一品になっている。

コジカism
加工食品New“ムダ”に価値を見出す「ムダパ」は、食の新しい物差しになるのか
最近、「ムダパ」という言葉を目にする機会が少しずつ出てきました。日経MJでは2026年1月に「2026年『ムダパ』への旅 4割がタイパ疲れ、無駄な時間で豊かに」という特集が掲載され、コスパ・タイパの次に来る価値観として紹介されています。ただし興味深いのは、この言葉の意味がまだ一つに定まっていないことです。ある記事では、ムダパは「人それぞれにある大事な無駄」と捉えられ、家事や仕事はタイパ重視でも、旅行や食事には時間をかけたいという生活者感覚が紹介されています。一方、商いの文脈では、ムダパは効率の反対ではなく、未来の繁盛につながる“商人の財産”として語られています。この解釈の揺れ自体が、いまの生活者の気分を映しているのかもしれません。
New賞味期限10分が意味するもの――“その瞬間”を売る食の可能性
売場や飲食シーンで、「しぼりたて」「生削り」「蒸したて」「できたて」といった言葉を目にする機会が増えているようです。さらに、「賞味期限10分」といった極端に短い時間を打ち出す商品も登場しています。これらは保存性や利便性とは逆の価値です。あえて“今この瞬間しか味わえない”ことを前面に出している点が特徴的です。こうした動きは、単なる出来たて訴求にとどまらず、“時間そのものを価値として提示する”試みとも捉えられます。
New



