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まんまとハマったジャケ買いシリーズ その1   新製品じゃないのになぜ?

加工食品
田村十七男
田村十七男

『しょうゆ味』でも『みそ』でもなく、『塩』

パリパリの麺が内包された、お手軽皿うどんキットとしては定番のスタイルです。

「そりゃズルいぜ」とつぶやいちゃいました。いつものスーパーマーケットのカップ麺ラック。正確に言えば、そのラックのいちばん端っこの角の、メイン導線からもっとも目につきやすい棚。その全面を埋め尽くすように置かれていたのが、今回の商品であります。

ネーミングからして罠ですよ。しかも包装の絵柄がいつか見たのと同じなんて、おそらく企画会議で「これならジャケ買いする人が多いですよ」と進言した人がいたに違いありません。その軽やかな狙いにまんまとハマった一人が僕だった、ということなのでしょう。何か、悔しい。

インスタントの袋麵を口にしなくなって幾星霜。なのにこのジャケットというかパッケージに惹かれたのは、たぶん多くの方と同じく記憶の中に焼き付いていたからです。

高校生くらいだったかな。パート勤務の母親の帰りを待てず、空腹を満たすためよく食べていたのが『サッポロ一番』の『しょうゆ味』でも『みそ』でもなく、『塩』の袋麵。具も入れず鍋から直接食べてたっけ。そんな思い出があるからこそ、『皿うどん』と明記されながら今回の商品に手を出したのだけれど、当時の自宅の食品保管場所にはなぜ『塩』が常備されていたんだろう。何か、気になる……。

実は母親の好物だったかもしれず

この商品の決め手は、塩ラーメン味のスープと、袋麺にも付いていた切り胡麻。

例によって横道に逸れますが、他所のご家庭で出ても自分ちの食卓に上がらなかった食べ物がありませんか? ウチは主に納豆と生卵。それがちょっとおかしいことに気づくのは、小学校の高学年あたりから経験する泊りの修学旅行です。「何か問題でも?」と言わんばかりに、朝食の膳に納豆や生卵が平然と載っているわけです。そういう些細な場面から、少年は世間の常識を学んでいきます。

ではなぜ自分ちに出ない食べ物があったのか。ずいぶん大人になってから、壮大な秘密に触れてしまう危険性を慮って、そっと母親に理由をたずねてみました。

「私が嫌いだったから」

必ずしも母親は全能ではないという、個人的に好きなエピソードなのですが、身内びいきが過ぎるでしょうか。

って、『サッポロ一番』の件でしたね。あの頃常にそれが備えてあったのは、納豆や生卵とは逆に、実は母親の好物だったかもしれず、であれば当時の盗み食いをいつかちゃんと詫びなければ、という話です。

そういう、特段すぐに取り扱わなくていい思いまでが、『サッポロ一番 塩ラーメン味 皿うどん』を目にしてよみがえりました。で、衝動的なジャケ買いながら、『皿うどん』だから晩飯にちょうどいいという分別ある判断を添えて購入してみたのです。が、この商品、今ひとつ正体がつかめないまま……。

懐かしい切り胡麻の手作業の記憶

ひとまず概要を知るため、メーカーのウェブサイトをチェック。ところが、『サッポロ一番 塩ラーメン味 皿うどん』は商品ラインナップに記載なし。まさかそんな⁉ あれだけ推した売り方をしていたなら、新製品に間違いないはず。もしや騙りかと邪推してみたものの、販売者は『サッポロ一番』でおなじみサンヨー食品。一方で製造者は、『棒ラーメン』で有名なマルタイ。製麺系のコラボなら、なおさらアピールすべきなのに、マルタイのサイトにも『サッポロ一番』の情報はなし。

一体全体ってやつです。しかし、個人のコラムや動画が見つかりました。それらの掲載日付でもっとも早かったのは、2024年11月あたり。そこから導き出されたのは、新製品ではないという推論。とは言え、それが僕の記憶や思いを汚すことはありません。ただ、スーパーマーケットの仕入れに謎が残っただけです。

さて、実食。特徴的だったのは、特製スープが妙に黄色めで、味わいに不慣れなスパイシー感が漂っていたこと。それが『サッポロ一番 塩ラーメン』のフレーバーなのかは、袋麺を食べなくって久しいせいでよくわかりませんでした。救ってくれたのは別添の切り胡麻。「こういうの、かけた!」という小袋を切った手作業の記憶が懐かしかったです。

それにしても、新製品じゃなさそうなのにジャケ買いを煽るような売り方をしていたのはなぜだろう。ちなみに、さっき行った同じスーパーマーケットの同じ売り場には、某カップ焼きそばがところ狭しと並べられていました。シンパシーがないので、「ふ~ん」と素通りでしたけれど。

  • この類の定石としてカット野菜を使用。シーフードミックスは久しぶりの登板です。

スープが黄色め。『サッポロ一番 塩ラーメン』もそうだったのかな? さておき、胡麻をたっぷりかけていただきました。

田村十七男

訳あって十数年前に一人暮らしを選んだ際、「ちゃんと暮らす」という目標を掲げた60代前半のフリーランスライター。目標に関して言えば、それまで人任せだった料理に取り組める自分の意外性を知り、我が人生の大発見と自負しております。誰にも気兼ねしない自由と、親譲りの貧乏性がせめぎ合うスーパーマーケットで、今日もお買い物!

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  • 田村十七男

    訳あって十数年前に一人暮らしを選んだ際、「ちゃんと暮らす」という目標を掲げた60代前半のフリーランスライター。目標に関して言えば、それまで人任せだった料理に取り組める自分の意外性を知り、我が人生の大発見と自負しております。誰にも気兼ねしない自由と、親譲りの貧乏性がせめぎ合うスーパーマーケットで、今日もお買い物!

  • コジカism

    夫と中学生の娘との3人家族。 フリーランスで自宅を仕事場にしながら、 娘のお弁当づくりと、近くに暮らす高齢の母のケアをワンオペでこなす日々。 「旬のものをバランスよく食べさせたい」という理想と、 「外食も好きで手抜きもしたい」という本音の間で格闘しつつ献立を模索している。 和食、特に魚が好きな娘に合わせ、 焼き魚と具だくさん味噌汁との組み合わせが食卓に登場する頻度が高い。 自分のためだけの食事づくりは徹底的に手を抜く。

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