ホーム食べてみた! ~N1の食レポ~想定外のオチを導いた未知のそうめん

食べてみた! ~N1の食レポ~
想定外のオチを導いた未知のそうめん

そうめんにしては麺が太めに見えたこと
自ら取り上げておいてナニですが、実はそれほどそうめんが好きではないのです。風物詩的なところがありますよね。食欲が落ちる夏につるつるっと食べられるのがいいという話ですけれど、僕はいまだに時期的な食欲不振を知らないので、子供の頃から暑い=そうめんという図式が理解できずにいます。
それ以上に、あの細さが納得の外。ある程度の量をつまんで口に入れても、噛み応えのなさに必ず拍子抜けするのです。そのあたりは、そうめんならではの繊細な味わいを感知できない舌の至らなさが原因ではありますが。
なのになぜそうめんをネタにしたかというと、これがまた天邪鬼なものだから、夏が近づけば食べたほうがいいかなとなるのです。ただし、蕎麦ならできる麺つゆオンリーの食べ方だと味気無いので、しっかりした食事になるアレンジレシピに挑戦したくなる。これは、独り飯を始めてからの奇妙な意欲と言えるかもしれません。
そうして7月の声を聞くと、スーパーマーケットでそうめんが気になり始めます。しかし、そこにも厄介事が待っているのです。
そうめんの味がよくわからない僕は、どこの何を選べばいいかわからない。となれば頼るのはパッケージ。
今回は、奇をてらわない素朴なデザインを理由に『手延 半田めん』を手に取ってみました。ひとつの決め手は、そうめんにしては麺が太めに見えたこと。その安易な判断が思わぬ発見へとつながっていきました。

今回は、人から教わったサバ缶そうめんを紹介しようと。薬味も何種類か用意して。これが見事に裏切られます。
歴史的そうめん産地との思いがけない邂逅
スーパーマーケットの乾麺コーナーのそうめん群に置いてあったし、パッケージにも「手延べそうめんです」と明記されているのに、商品は『半田めん』 何か特別な意味があるのかと調べてみました。
案の定、ちょっと変わっていました。徳島県美馬郡つるぎ町の旧名に当たる半田町は、江戸時代からそうめんの産地。ここでつくられる手延べそうめんは『半田そうめん』と呼ばれてきたそうな。他より少し太めなのは、この町に流れる吉野川等で海運業を営んでいた船頭たちが、自分で食べるため一定の太さにこだわらずつくったのが由来。
とは言え現代の日本には、1.3㎜以下はそうめん/1.3㎜から1.7㎜以下はひやむぎ/1.7㎜以上はうどんと定めたJASの乾麺類規格がある。なのに『半田そうめん』はひやむぎに相当する1.4㎜から1.6㎜。にもかかわらずそうめんを名乗れるのは、歴史に裏付けれられた手延べ製法が考慮されたから。
さらに、伝統的な『半田そうめん』をつくる小野製麺が『半田めん』という商品名を使うのは、有名な料理研究家から個別のネーミングを設けるようアドバイスを受けたからだとか。
そうなの? と驚きました。「いやいや、買う前に調べていたに違ない」と怪しまれても、本当に何も知らなかったのです。だから今回は、人から教わったそうめんの食べ方を紹介して終わる予定でした。ところが、『手延 半田めん』との邂逅によって、当初のオチを弾き落とす想定外へと転がっていったのです。

サバ缶そうめんは、麺つゆにサバの味噌煮缶を丸ごと放り込み身を崩すだけの、レシピと呼べないほど簡単な食べ方です。
初回はシンプルな麵つゆで試したかった……
今回、最初から決めていたのは、サバ缶そうめん。普通の麺つゆにサバの味噌煮缶をドバッと入れるだけの簡単な工程ながら、僕には意外過ぎる食べ方でした。誰に教わったか失念しましたが、彼(男性ではあった)の実家では昔からサバ缶+そうめんだったらしく、おそらく彼の人柄がよかったので、ひとまず試してみたのです。
味噌煮に麵つゆは濃すぎるだろうと思いきや、これがけっこう塩梅良く、なおかつサバによってボリュームが増し、季節柄だけで食べるそうめんがしっかりした食事になりました。
「またまたぁ」と疑う方にお伝えします。長い付き合いの美容師にサバ缶そうめんを教えたら、その夏は家族で週2リピートのメニューになったそうです。もしよかったら、あれこれ薬味を用意してお試しを。
ここまでが当初予定していたオチでした。その書き換えに迫られたのは、『手延 半田めん』が想像を超えて美味しかったから。ひやむぎ相当の太さに確実な歯応え。一般的なそうめんの茹で時間は2分程度ですが、『手延 半田めん』は5~6分と長く、そこにもうどん寄りのコシの強さを醸す秘密が潜んでいるのかもしれません。
「なら、よかったじゃん」と思うでしょ? 違うんです。これだけ麺自体の風味が良いなら、初回はシンプルな麵つゆで試したかった。そんな後悔が、最初の一口で湧き上がってしまったのです。この無念が反動となり、そうめんを見直したというより、驚くほどチョロく『手延 半田めん』のファンになってしまいました。
以上が、真実を伝えるために改めた今回のオチです。いや本当に、そうめん不得手な人にこそ『手延 半田めん』ならびに『半田そうめん』を是非。

茹で上がった『手延 半田めん』はつるつる。次回は極めてシンプルな食べ方で麺の風味を確かめようと思いました。サバ缶も悪くなかったけれど。
田村十七男
訳あって十数年前に一人暮らしを選んだ際、「ちゃんと暮らす」という目標を掲げた60代前半のフリーランスライター。目標に関して言えば、それまで人任せだった料理に取り組める自分の意外性を知り、我が人生の大発見と自負しております。誰にも気兼ねしない自由と、親譲りの貧乏性がせめぎ合うスーパーマーケットで、今日もお買い物!
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コジカism
夫と中学生の娘との3人家族。 フリーランスで自宅を仕事場にしながら、 娘のお弁当づくりと、近くに暮らす高齢の母のケアをワンオペでこなす日々。 「旬のものをバランスよく食べさせたい」という理想と、 「外食も好きで手抜きもしたい」という本音の間で格闘しつつ献立を模索している。 和食、特に魚が好きな娘に合わせ、 焼き魚と具だくさん味噌汁との組み合わせが食卓に登場する頻度が高い。 自分のためだけの食事づくりは徹底的に手を抜く。
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