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冷凍食品コーナーを巡る旅 その6  度を越えたように見えたサイズがすべての始まり

加工食品
田村十七男
田村十七男

LPジャケットサイズのトラブルに近い事態

『冷凍食品コーナーを巡る旅』などと勝手に名前を付けてシリーズ化を図っておりますけれど、トラブルに近い事態が後により良き思い出へと更新されていくのは、何にせよ旅の醍醐味だったりします。今回の出会いは、まさにそれでした。

邂逅を果たしたのは、『冷凍食品コーナーを巡る旅 その5』で「三大粉もん」の3番目を探していたとき。まずはその大きさに驚きました。サイズの印象は、LPレコードのジャケット。実際のLPなら、昔みたいに小脇に抱えて帰ればいいけれど、もしやスーパーマーケットの買い物袋に収まりきらなかったらどうしようと思ったほどでした(実際には難なくスーパーマーケットの買い物袋に収まりましたが)。

いずれにせよ、今回の『お好み焼き みっちゃん総本店』による『広島流お好み焼 イカ天入 420g』は、僕には度を越えたように見えたサイズがすべての始まり。そこに魅了されなければ、3回も続けて粉もんの冷凍食品は買わなかったし、前回の『ねぎ焼』と『山芋焼』の約6倍の価格を無視することもできませんでした。

それは要するに、醍醐味を予感させるトラブルに近い事態だったわけです。

「LPサイズ?」と興奮し実物と比較したのですが、衝動は感覚を狂わせるみたいです。そこまで大きくなかったのね。

「昭和二十五年創業」「広島の復興とともに」「手焼き」

例によって、あらゆる情報はスーパーマーケットを出てから知ることになります。何しろ今回はサイズに驚いて衝動買いしたので、自宅の冷凍庫に仕舞う段になるまで、パッケージ上の文字情報の多さに気づけませんでした。

「昭和二十五年創業 元祖広島流」「広島の復興とともに、生まれ育った味」「手焼き」 そして商品を背にして映る男性の写真の脇には「初代 井畝満夫」

ともすれば誇示と疑いそうな文言がいずれも真実であることは、『お好み焼き みっちゃん総本店』のホームページで明らかになりました。

「初代 井畝満夫」なる人物は、父の井畝井三男(いせ いさお)氏が原爆投下から5年後の「昭和二十五年」に広島市内で始めた屋台のお好み焼屋を引き継ぎ、「創業」から3年後に自身の愛称だった「みっちゃん」に改名。「広島の復興とともに」に親しまれる中で、後に「広島流」となるそば入りのお好み焼きを発案。やがて広島県内で6店舗を持つまでに発展。2015年に竣工した専用工場でつくる冷凍食品のお好み焼きも、一枚一枚を職人が「手焼き」するこだわりを大事にするという……。

読み進めるほどに心がじわじわしました。このLP大の商品に詰め込まれているのはたくさんの思いなのだと知り、それを8月に食べるのは感慨深い偶然だなあと。

なのですが、実食に当たってはまた新たなサプライズと出くわすことになるのです。

封を開けて出てきたのは、20センチ四方の正方形容器。一人じゃ食べきれないかもと期待したのだけど……。

あるいは粉もん冷凍食品は罠なのか?

勢い余って部屋の奥から引っ張り出したLPジャケットよりはちょっと小さかった、タテ26センチ×ヨコ27センチのパッケージ。それはいいのだけど、封を開けて取り出したお好み焼き本体の容器は、一辺が20センチの正方形。正直なところ、ずいぶん小さくなったことに拍子抜けしました。

あえて、がっかりしたとは言いません。なぜならパッケージ上の片隅に、ちゃんと「1人前」と記さていたから。そういうのはよく見落とします。「こんなにデカけりゃ一人で食べきれないかも?」とつい期待を膨らませてしまうのは、食い意地の怖さなのでしょう。

一方で安心したのは、自社開発した「お好みソース」と青粉が備わっていたこと。それ以外を使って本来の味を変えてしまうのは心苦しくなります。ちなみに「お好みソース」は、2分ほどお湯で温めるとまろやかな味わいになると勧められていました。

実食の結果ですが、美味しかったです。イカやブタの風味は立っているし、広島風らしくそばやもやしが階層の中に仕込まれているところも楽しめました。

しかし、ここまでのサプライズも含むように食べ進めていくうち、頭の中で不安が広がり始めました。このままでは「三大粉もん」案件と同じオチになってしまうのではないか……。

冷凍食品は、それ自体がオリジナルか。はたまた代用なのか。僕の見解では、『ねぎ焼』『山芋焼』そして『広島流お好み焼 イカ天入 420g』は完全に後者。特に『お好み焼き みっちゃん総本店』には実店舗があるので、そこまで出かけて「元祖広島流」を味わいたくなる気持ちが抑えきれなくなります。

あるいは罠なのか? そんな疑念を抱きながら冷凍食品と対峙する人はいないだろうけれど、困ります。2年ほど前に広島でお好み焼きを食べたのに、『みっちゃん総本店』に出直したくなっちゃうし。

パッケージ写真に倣った仕上げに。そばともやしを生地の間に挟むのが広島風。それはそれとして「店があるならそっちでも」ってなる罠ですよ。

田村十七男

訳あって十数年前に一人暮らしを選んだ際、「ちゃんと暮らす」という目標を掲げた60代前半のフリーランスライター。目標に関して言えば、それまで人任せだった料理に取り組める自分の意外性を知り、我が人生の大発見と自負しております。誰にも気兼ねしない自由と、親譲りの貧乏性がせめぎ合うスーパーマーケットで、今日もお買い物!

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  • 田村十七男

    訳あって十数年前に一人暮らしを選んだ際、「ちゃんと暮らす」という目標を掲げた60代前半のフリーランスライター。目標に関して言えば、それまで人任せだった料理に取り組める自分の意外性を知り、我が人生の大発見と自負しております。誰にも気兼ねしない自由と、親譲りの貧乏性がせめぎ合うスーパーマーケットで、今日もお買い物!

  • コジカism

    夫と中学生の娘との3人家族。 フリーランスで自宅を仕事場にしながら、 娘のお弁当づくりと、近くに暮らす高齢の母のケアをワンオペでこなす日々。 「旬のものをバランスよく食べさせたい」という理想と、 「外食も好きで手抜きもしたい」という本音の間で格闘しつつ献立を模索している。 和食、特に魚が好きな娘に合わせ、 焼き魚と具だくさん味噌汁との組み合わせが食卓に登場する頻度が高い。 自分のためだけの食事づくりは徹底的に手を抜く。

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