ホームこれって兆し?「何をつくるか」から逆算して品種をつくる?――ジュース専用品種に見る“川上の商品設計”

これって兆し?

これって兆し?

「何をつくるか」から逆算して品種をつくる?――ジュース専用品種に見る“川上の商品設計”

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「おいしい果物」ではなく「おいしいジュースになる果物」

果物の品種開発というと、甘さや大きさ、見た目など、まずは生食での価値を高めることを思い浮かべます。

ところが、その発想とは少し違う品種が登場しています。

沖縄県が2026年に品種登録したパインアップル「沖農P22」は、国内初のジュース加工専用品種。糖度が16度以上と高く、果肉やジュースの黄色が濃いほか、既存品種より搾汁量も多いことが確認されています。一方で果実障害などから生食用途には適さず、加工施設を持つ生産者や一次加工業者などへの普及が想定されています。

つまり、「収穫した果物を何に加工するか」ではなく、「つくりたい商品に適した原料を、品種の段階からつくる」という考え方です。

原料の価値は、用途によって変わる

似た動きは、既存原料の価値転換にも見られます。

2026年8月には、缶詰用として集荷されながら、大きさや日焼けなどの理由で規格に合わなかった九州産うんしゅうみかんを、ストレート果汁100%ジュースにする商品が登場しました。対象となるみかんは年間100トン以上にのぼるとされています。

こちらは専用品種ではありませんが、共通するのは、生食や従来用途の基準だけで原料の価値を決めないこと。用途が変われば、評価される色、糖度、形、大きさも変わります。

商品開発が“川上”へ広がる兆し?

メーカーや卸売側から見ると、この発想には別の意味もありそうです。

山梨県では2026年度から、醸造用ぶどうについて、生産者とワイナリーのマッチングや長期取引契約、新植・改植を支援する事業を始めています。加工に適した原料を安定して確保するため、生産段階から実需者が関わる動きは、今後さらに重要になる可能性があります。

生活者にとっては、品種名そのものよりも、味や色、香りといった商品の品質としてその成果を感じることになりそうです。一方、食品メーカーにとっては、商品開発の起点が工場や厨房から、畑や品種へと遡っていくことを意味します。

まとめ

用途特化型の原料設計自体は、加工用トマトや醸造用ぶどう、ポテトチップス用じゃがいもなどですでに存在します。
それでも、ジュース専用パインの登場は、「良い原料とは何か」を最終商品から逆算する発想が、果実にも広がっている事例として興味深いものです。

これからの商品開発では、「この原料で何をつくるか」だけでなく、「この商品をつくるために、どんな原料を育てるか」までが企画領域になっていくのかもしれません。

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