
これって兆し?
「純喫茶気分」を日常に取り入れる動き――レトロ感が食の楽しみ方を広げている?
☕レトロブームは継続中。その中で「純喫茶気分」も広がっている
昭和・平成レトロへの関心は、一過性の流行にとどまらず、いまもさまざまな商品やサービスに取り入れられ続けています。
その中でも、食品まわりで存在感を見せているのが、「純喫茶」を思わせる世界観です。
クリームソーダ、固めプリン、ナポリタン、ホットケーキ、カフェオレ。
どこか懐かしく、少し特別感のあるメニューが、喫茶店の中だけでなく、コンビニやスーパー、テイクアウト、家庭で楽しむ商品にも展開されています。
こうした動きは、単なる“昔っぽさ”の再現ではなく、生活者が日常の中に“純喫茶気分”を取り入れ続けている兆しなのかもしれません。
懐かしい世代と、新鮮に感じる世代
背景には、世代によって異なる受け止め方がありそうです。
純喫茶を実際に知る世代にとっては、喫茶店メニューやレトロなパッケージは、昔の記憶と結びつく“懐かしいもの”です。
一方、Z世代をはじめとする若い世代にとっては、当時を知らないからこそ、逆に新鮮で、写真に撮りたくなる世界観として映っているのではないでしょうか。
つまり純喫茶は、上の世代には“再会”として、若い世代には“発見”として受け止められている可能性があります。
食品にも広がる“喫茶店らしさ”の取り入れ方
商品側にも、その変化は表れています。
例えば、森永製菓の「ミルクキャラメル<カフェラテ味>」は、純喫茶の世界観をモチーフにした商品として発売されています。やさしい甘さやカフェラテ味に加え、ステンドグラスや窓枠を思わせるパッケージ表現によって、喫茶店でひと息つくような気分まで設計されている点が特徴的です。
また、Pascoの「喫茶店風グラタントースト」は、家庭で手軽に喫茶店気分を味わえる「喫茶店風シリーズ」の一つとして展開されています。2023年から小倉バタートーストやたまごトーストなどを発売してきた流れもあり、喫茶店らしさが朝食や軽食のシーンにも入り込んでいるように見えます。
さらに、トーラクの「昔ながらのかためプリン」は、「昔ながらの喫茶店風」のカスタードプリンとして展開されており、昭和レトロブームによる喫茶店人気の高まりの中で、かためプリンがロングトレンド化していることにも触れられています。
ここで求められているのは、必ずしも本格的な喫茶店の再現ではなさそうです。
むしろ、日常の中で少しだけ気分を変えられること。
“いつものおやつ”や“いつもの休憩”に、レトロな情緒を足すことが価値になっているのかもしれません。
メーカーにとっては、味だけでなく“時間”をつくる視点へ
この動きは、食品メーカーや外食・中食関係者にとっても、自分ごと化しやすいテーマです。
純喫茶らしさは、特定のカテゴリーに閉じません。
菓子、飲料、アイス、デザート、パン、惣菜、冷凍食品、容器、売場演出など、さまざまな接点で取り入れる余地があります。
ポイントは、単に「レトロな味」を出すことではなく、
・ほっとひと息つける
・少し非日常を感じられる
・写真に残したくなる
・親世代とも会話が生まれる
といった、“食べる前後の気分”まで含めて設計することにありそうです。
まとめ
「純喫茶気分」を日常に取り入れる動きは、継続するレトロブームの中で、懐かしさだけでなく、新しさや癒し、ちょっとした非日常感を求める気分とも重なっているように見えます。
喫茶店に行くことそのものだけでなく、家や職場、移動中の休憩時間に、少しだけレトロな気分を楽しむ。そんな軽やかな取り入れ方が、生活者の間に定着し始めているのかもしれません。
この動きがレトロブームの一要素にとどまるのか、それとも食品や売場における“気分づくり”の手法としてさらに広がっていくのか。
純喫茶気分の継続には、これからの食の楽しみ方を考えるヒントが隠れていそうです。
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